モノクロの音色よ鮮やかに響け
私は涙があふれて止まらなくなって、ボロボロに泣いて、おえつを洩らし、泣いてる事を川畑に知られてしまった。

川畑は自分の顔を覆っていた右手を、小さな舌打ちと同時に私の顔の方に伸ばして、正確に私の頬に触れた。

「泣くな。美人が台無しだ」
川畑はグチャグチャに濡れた私の頬を拭った。
あまりにもビックリして、涙が止まった。

「美人じゃ…ないですよ」
川畑はクスッと笑って
「俺の想像の中ではとびきり美人だから」
実際は涙と、川畑が拭ってくれた時についた血で酷い顔をしてるだろう私に言った。

私は、川畑が自分が大変な時に、精一杯、慰めようとしてくれてるのを感じて
「じゃあ、そういう事にしておいて下さい」
と言って、泣き笑いをした。
< 102 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop