モノクロの音色よ鮮やかに響け
4、日常からかけ離れて
救急車は暖かかったが、動く度に酷く揺れて、寝かされている川畑は頭がガタガタと揺れて気の毒だった。
車内で簡単に指の処置をされたが、年輩の救急隊員が
「あの出血量は指からではないな」
と言って、毛布をどけて他に傷がないか探し出した。
川畑は力なくされるがままで、無遠慮に腕をまくられ、服をたくし上げられ…川畑の白い素肌が見えて、私は目をそらした。
「ここだ!」
黒くて分かりにくかったが、絞れるほどの血にまみれた靴下をハサミで縦に切り開いて脱がせた隊員が、声を荒げた。
私は息を飲んで、ザックリと開いた川畑の足の甲の傷を見た。
「落としたナイフが刺さったんだろう。こりゃ、大きい病院の方がいいな」
年輩の隊員が、病院数ヵ所に電話をかけ、少し遠いが大学病院に行く事になった。
川畑は終始無言で、意識があるのかどうかもわからなかった。
車内で簡単に指の処置をされたが、年輩の救急隊員が
「あの出血量は指からではないな」
と言って、毛布をどけて他に傷がないか探し出した。
川畑は力なくされるがままで、無遠慮に腕をまくられ、服をたくし上げられ…川畑の白い素肌が見えて、私は目をそらした。
「ここだ!」
黒くて分かりにくかったが、絞れるほどの血にまみれた靴下をハサミで縦に切り開いて脱がせた隊員が、声を荒げた。
私は息を飲んで、ザックリと開いた川畑の足の甲の傷を見た。
「落としたナイフが刺さったんだろう。こりゃ、大きい病院の方がいいな」
年輩の隊員が、病院数ヵ所に電話をかけ、少し遠いが大学病院に行く事になった。
川畑は終始無言で、意識があるのかどうかもわからなかった。