モノクロの音色よ鮮やかに響け
テープのラベルを指で確認した川畑は、
「電話帳代わりだ」
と言って、寝ながら片手でやりにくそうにしながらも、プレイヤーの中に入ってたテープを入れ換えて、再生を押した。

「悪いがお前が電話をかけてくれ。…メモして」
テープには、川畑の父母の連絡先から始まり、役所やかかりつけ病院や出前を頼んだ事がある店まで、膨大な電話番号が川畑の声で入っていた。

川畑はテープのどの辺に何が入っているかほとんど把握しているらしく、少し聞いては早送りしたり巻き戻したりしながら、目当ての番号を見付けていた。

言われるままに、電話をかける所と内容をメモして、病院の公衆電話から電話をかけた。
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