モノクロの音色よ鮮やかに響け
「いや…今のままでいい。毎日来てくれている人がいる」
あ…これってきっと、私の事だ。
ふいに話題にされて、私はドキドキした。

「いい人がいるなら、紹介しなさいね」
と何か勘違いしたらしい川畑の母。
「彼女は…仕事で来ているだけだから。ヘルパーだよ」

「ああ、留守電に入っていた子か。若そうだったな」
川畑の父が言った。
沈黙はきっと、川畑が頷いた肯定。
川畑はよく黙って頷く事があるので、私はその様子が楽に想像出来た。

「好きなの?」
川畑の母のズバリとした質問に、川畑は無言だった。
沈黙はきっと…って、えぇっ!?

川畑も、私を好きかもしれない…いや、まさか!
私はカッと顔が赤くなったのを感じて、頬に両手をあてた。

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