モノクロの音色よ鮮やかに響け
「いい子なの?」
…無言が怖い。
本当に川畑は、頷いてるのだろうか?
私の希望的な想像にすぎないんじゃないだろうか。

でも川畑は、私の不安を拭うように、否定の時はキッパリと口にした。
「出来る事があったら協力するわよ?」
「いや、いい。俺には、もったいない…」

「なに言ってるの。引け目に思う事はないのよ。不自由させたりしないんだから」
「いや…構わないでくれ」

「そういえば田崎が、来月娘が結婚すると言ってたぞ。一興頼まれた。お前、共演した事があっただろう?」
川畑の父が口を挟んだ。
「あぁ…だいぶ前に。来月のいつ?電報を送るよ」
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