モノクロの音色よ鮮やかに響け
それから暫く、川畑は父母と知人の話などしていたが、私は川畑が私を好きかもしれないって事で頭が一杯になっていた。

それに川畑の母が言ってた、住み込みとか…
そしたらメイドでも手伝いでも、川畑と今よりずっと長く居られる。
もし他の人に頼む位なら、私が立候補したかった。

「じゃあ、書類を病院に出して帰るわね。何かあったら家に電話して」
川畑の父母は、空港からまっすぐ来たようで、小型のスーツケースを引きずって病室から出て来た。

私は慌てて、もっと奥の病室に行くと装って通り過ぎ、廊下の窓から川畑の父母が病院の外に停車していたタクシーに乗り込むのを見てから、川畑の病室をノックした。
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