モノクロの音色よ鮮やかに響け
私は、相変わらず毎日お見舞いに行っていた。

川畑の心に触れた時の事は、まるで最初からなかったかのように話題から避けられていた。

退院の前日に、いつも自宅に呼んでいる散髪屋に病院で切ってもらった川畑は、スッキリと短髪がキマッていた。
寝巻きから黒服に着替えた姿も、久しぶりに見るからか新鮮に思えて、格好良かった。

必要な所は連絡を済ませて、今日から夕飯のお弁当も届くようになっている。

沢山の荷物と一緒にタクシーで川畑邸に帰り、川畑がまずやった事は、リビングでCDをかける事だった。
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