モノクロの音色よ鮮やかに響け
一階ではまずリビングに案内された。

「わぁ…」
思わず声をあげた私の目線の先には、グランドピアノがあった。
窓からの陽が、薄いカーテンを通して溢れ、ピアノはキラキラと輝いていた。

「どうした?」
川畑が立ち止まって聞く。
「ピアノ…」
「あぁ、一応ピアニストだからな」
「えっ、そうなんですか!?」

目が見えないピアニストって凄い…
私も小学校の頃にピアノが弾ける友達に憧れて習ってた事があるけど、自分の上達の遅さにうんざりして、一年たたずに挫折してしまった。

楽譜なんてどうしてるんだろうか。
私は川畑に対する興味がムクムクと湧いて来るのを感じた。
だいたい、盲目でこんなに『普通』に動けるものだろうか。
もし自分が目が見えなくなったら…右も左もわからず動けなくなるに違いない。

う…聞いてみたい。
けど、聞きにくい。
< 13 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop