モノクロの音色よ鮮やかに響け
大滝さんは、私を川畑邸の仕事から外して、他の仕事先へ派遣を考えていた。

新人のヘルパーさんが入ったから、仕事自体は家事だけの川畑邸の仕事をまわして、慣れて来た私は他の所で色んな介護の経験を積んだら…と言われたけど、大滝さんはきっと、仕事と私情を割り切れない私を見抜いていた。

私は、断った。
断れる立場じゃない事はわかっていたけれど、川畑邸に他の人が出入りして、川畑と話し、触れるかもしれないと思うと…考えるだけで、狂いそうな程の嫉妬を感じた。

でも、断るなら今後は他の仕事も依頼出来ないと言われた。
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