モノクロの音色よ鮮やかに響け
音のない部屋での沈黙は長く感じた。
何を言われるか怖かったけれと、好きな想いは変わらないっていう自信が、私を強くしていた。

「…軽々しく言うな。よく考えなさい」
川畑は上から命令するように言ったけど、私は引かなかった。

「考えるのは川畑さんの方です。
私は本気です。
私が告白したんだから、川畑さんがよく考えて返事を下さい」
「………」
「返事はすぐじゃなくていいです。
…50年後でも。
それまで毎日来ます」

私は、話は終わったとばかりに立ち上がり、エプロンをして仕事を始めた。
お金をもらってないから、もう仕事と言えるかわからないけれど。

川畑は知りようがなかったが、センターを辞めた私のエプロンは、少し前から自前の物になっていた。
< 133 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop