モノクロの音色よ鮮やかに響け

3、気まずい頼み事

私の出身校で、弟の知也が今通っている中学校は、合唱に力を入れている。

私も中学時代は合唱部で、中三の時は全国コンクールまで行った。

賞は取れなかったけれど、お母さんと一緒にコンクールを見に来ていた知也も、中学で迷わず合唱部に入った。

「ねーちゃん」
同じ部屋の知也とは、夜寝るまでの時間をよく一緒に話したり、宿題を見てあげたりして過ごす。

夏休みに入った知也は日焼けして運動部みたいに真っ黒だ。
最近釣りにハマって、仲の良い友達と部活が終わってから連日釣りに行ってるらしい。

「ん~?」
パソコンをいじりながら、どうせまた宿題の手伝いかな…なんて思って適当に返事した私は、知也の言葉に手を止めた。

「ねーちゃんの行ってる家の人って、ピアニストなんだっけ?」
「…そうだけど、どうしたの?」

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