モノクロの音色よ鮮やかに響け
雨降りのジメッとした空気のリビングで、
ゆったりとしたクラシックが流れていた。

川畑は聴いているというより音の中で考え事をしているようだった。
声をかけにくい。

「本田くん」
「…はい」
川畑の方から話しかけて来た。

「センターでの時給はいくらだ?」
「…どうしてですか?」
「俺が、雇おう」
私はカッと頭に血が上った。

私が来る事に、川畑は『仕事』という理由をつけようとしていると思った。

住み込みのメイドでもいいから側に居たいと思った事もあるけど、仕事を辞めた今は、もっと特別な関係を求めていた。

告白したんだから、川畑だってそれをわかっているだろうに!
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