モノクロの音色よ鮮やかに響け
私は母校を懐かしく音声ナビしながら、玄関から職員室へ向かい、挨拶をして、合唱部の先生とピアノ担当の先生と一緒に音楽室へ行った。

ピアノに向かった川畑は、ポロロンと音を出して
「懐かしい」
と呟いた。
アレンジ豊かに弾いてみせたのは、中学の校歌。

私立にでも行ってなければもしかして…とは思っていたが、川畑もこの中学に通っていたのだ。

「体が覚えているものだな。記憶が蘇る」
川畑は先生方の前でもマイペースで、川畑らしかった。

「引き継ぎを。耳で覚える」
私は川畑が高慢に思われやしないかとハラハラした。
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