モノクロの音色よ鮮やかに響け
でも、私の心配は空振りに終わった。
口先だけでは偉そうに思われても、実力を伴えば認められる。

ピアノの先生に、課題曲と自由選択曲を3回ずつ弾いてもらった川畑は、再びピアノに向かうと、なんといきなり弾いてみせたのだ。

私は鳥肌が立った。
やっぱり川畑は天才だ!

先生方も同じ思いだったようで、驚き、感動して、賛辞を惜しまなかった。

後で合唱とあわせてみた知也が言うには、細部までピアノの先生の伴奏との違いがわからなかったという。

父のコピーと言われた川畑の才能が、誰の演奏も完璧に再現出来る優れたものだって事が証明されたのだった。
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