モノクロの音色よ鮮やかに響け
「ノクターンを、弾いてくれませんか?」

唐突な私のリクエストに川畑は苦笑しながらも
「では気分転換に」
と言って弾いてくれた。

私はうっとりと聞き惚れて、弾き終えた川畑の両肩に手をそっと置いた。
触れたい気持ちに勝てなかった。

背もたれのないピアノ椅子に座っている川畑の、細身の体を包み込むように、両腕をまわして後ろから抱きついた。

「好きです」
心臓が、爆発しそうだった。
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