モノクロの音色よ鮮やかに響け
川畑はクスッっと笑って、私の両手を握っていた手を、腕から肩へと伸ばして、優しく触れて来た。

怪我の事故の時に涙を拭ってくれた、一瞬の事故みたいな時以来、初めて川畑から触れて来て、私は緊張とドキドキで固まって真っ赤になっていた。

肩に手を置いた川畑は立ち上がり、ギュッと私を抱き締めた。
長身の川畑の腕にすっぽりと包まれて、とっさに横を向いた頬に、胸が押し付けられる。
うわぁ…嬉し死にしそう。

「触れたいと思っているのは、お前だけじゃないのだよ。
俺がどんなに我慢しているか、知りなさい」

私は心の耳と実際の耳で、川畑の激しい情熱と鼓動を、確かに感じた。
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