モノクロの音色よ鮮やかに響け
夏休みとはいえ、部活の指導や二学期の準備なんかで学校に来ている先生は多いらしく、時間のある先生は合唱の練習を見に来たりしていた。
「…失礼」
「あっ、ごめんなさい」
私は音楽室から一人出てトイレに行こうとして、これから入ろうとしていた先生とドアの前でぶつかった。
骨董品のような黒いフレームの眼鏡が印象的な、50代も後半近く見えるその人は教頭先生で、よく合唱部を見に来ては隅で静かに聴いていた。
部活を終えて川畑邸へ戻ってから、川畑はその先生の事を聞いて来た。
「やたらと姿勢のいい、眼鏡の先生がいるか?」
私はすぐに教頭先生の事だとピンと来た。
意識してそうするのか癖なのか、いつも背筋が不自然なほど真っ直ぐなのだ。
「…失礼」
「あっ、ごめんなさい」
私は音楽室から一人出てトイレに行こうとして、これから入ろうとしていた先生とドアの前でぶつかった。
骨董品のような黒いフレームの眼鏡が印象的な、50代も後半近く見えるその人は教頭先生で、よく合唱部を見に来ては隅で静かに聴いていた。
部活を終えて川畑邸へ戻ってから、川畑はその先生の事を聞いて来た。
「やたらと姿勢のいい、眼鏡の先生がいるか?」
私はすぐに教頭先生の事だとピンと来た。
意識してそうするのか癖なのか、いつも背筋が不自然なほど真っ直ぐなのだ。