モノクロの音色よ鮮やかに響け
川畑の表現に少し笑った。

「いますよ。合唱部をよく見に来てるので、知也に…弟に聞いたら、教頭先生だって言ってました」

川畑は
「そうか…」
と言ったきり、黙り込んだ。

私は、深刻そうな川畑の様子に、心の耳を澄ませて考えてみて、姿勢や眼鏡までは、見えない川畑にはわからないハズの特徴だと気付いた。

さっきは笑ってしまった川畑の台詞は、目が見えていた頃の記憶だったのだ。
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