モノクロの音色よ鮮やかに響け
川畑はショパンのCDをかけた。
『華麗なる大円舞曲』から始まるCDは、私が初めて川畑邸に来た時を思い出させた。

ソファに戻ると、川畑は片手でポンポンとソファを叩いた。
私は一瞬キョトンとしたけれど、それが隣に来るように合図してると悟ると、一気に心臓が跳ね上がった。

ドキドキしながら川畑の隣に座る。

川畑はソファの背もたれに片腕をまわして私の肩を抱き寄せると、頭に触れて、短いポニーテールにしていた私の髪に長い指を絡ませてクルクルと弄んだ。

「お前は、何故ヘルパーになったのだ?」
「それは…」
静かに聞いて来た言葉に、川畑も私の事を知りたいと思ってくれてるのかな…と嬉しかった。

私は、自分の幼い頃や家族の事に触れながら、祖父母を亡くした経験が大きくて、ヘルパーになった事を話した。

「巡り合いとは不思議なものだな」
川畑は感慨深く頷いて言った。
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