モノクロの音色よ鮮やかに響け
無音の中で悲痛そうに言った川畑は、CDが一周して華やかな円舞曲になって、フフッと笑った。
「まさか、そこへ戻る事があるとは、思ってもみなかったよ」

川畑は過去から戻って、私に話しかけた。

「やり直す機会が出来た。
お前には、感謝している」
「川畑さん…」

私は、何も知らずにした頼み事が、川畑には残酷な事だったと知って、申し訳なさでいっぱいだった。

引き受けてくれた時に、葛藤しなかった訳がない。
煮え湯も飲める、と言ってたのを思い出す。

「…ごめんなさい」
川畑はクスッと笑って私の頭を撫でた。
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