モノクロの音色よ鮮やかに響け
「高校は盲学校に行った。
その頃の知人が結婚する時に、頼まれてピアノを弾いたが…
とうてい満足できるものではなかった。
お前と出会わなければ、もう二度と、人前で弾く事はなかっただろう」

あぁ、以前話題になったっていう、大滝さんも話していた…。
でも、川畑の才能を埋もれさせておくなんて、誰にも聴かせないなんて…
「そんなの、もったいない!」
私が言うと、川畑は声をあげて笑った。

グリーンティーとリンゴでティータイムにした。

お茶しながらもまた、川畑はゆっくりと過去を振り返って、話を聞かせてくれた。
川畑と、こんなに語り合った事はなかった。

川畑のいろんな事を知って、ぐっと近付けた気がした。
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