モノクロの音色よ鮮やかに響け
音楽室から川畑の、苦笑まじりのような声がした。
「出世して良かったですね。服部先生」

私は川畑の言い方が皮肉めいていたのに違和感を感じ、それに対して教頭先生が言った言葉に驚いた。

「ずっと、君に謝りたかった…すまなかった」
再会した二人の間に、懐かしさとは別の微妙な空気が流れていた。

私は、教頭先生が川畑と二人で話す機会をずっと伺っていたのかもしれない…と思って、器材室から出れなくなった。

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