モノクロの音色よ鮮やかに響け
教頭先生がエコーロケーションの可能性を引き出した事を川畑から聞いていた私は、教頭先生に良い印象しかなかった。

目を患った時に担任だった先生は、忙しい両親よりも見舞いに来ていたと話していた。

ベッドにいながら足音で誰がどの辺りにいるかすぐに聞き分けられるようになった川畑に、自分で音を出して周りの様子を知る事が出来るのではないかと言ったのは、服部先生だったそうだ。

初めは、手を叩いて距離を測っていた。
物との距離がつかめるようになったら、手を叩きながら歩く事が出来た。
同時に、欠点も見えて来て、手に何も持てない手拍子より舌打ちで音を出し、杖を使って歩くのが一番良いと辿りついた。

服部先生との訓練の結果、物の細かい形や質感まで捕えられるようになり、また学校に行く事が出来たと…

こっちが礼を言いこそすれ、先生が謝るような事があったのだろうか…?
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