モノクロの音色よ鮮やかに響け

教頭先生が行った後、私が器材室から出るタイミングをはかっていると
「居るんだろう？」
川畑に呼ばれて、音楽室へ入った。
川畑は、ピアノの横の窓を開けて、窓際に立っていた。
「気を使わせたな」
「いいえ…」

秋晴れの空が夕焼けに染まり、窓から優しい光と風が入り込んでいた。

「一時期、マスコミから取材が殺到してね。
服部先生が黙って投稿していた俺の記録が注目されたのだ。
あの時は、ずいぶん裏切られた気分だった…」
そんな事が…。

「こんな風に再会出来る日が来るとは…時がたてば変わるものだな」