モノクロの音色よ鮮やかに響け
「夕焼け空が綺麗…
正面に富士山…今は雪もなく青くて、半分は他の山に隠れてて。
山の茶畑は段々畑で青々として」

川畑は頷いた。
「あぁ…。変わらない物もあるな」

「中学の隣の老舗のお茶屋さんも」
「そうだな」
川畑は笑って、片手で私の手を探って握った。

変わって行くもの、変わらないもの。
祖父母との別れがなければ川畑に出会わなかったし、
川畑も目を失わなければ私と出会わなかった。
川畑も言っていたけれど、巡り合いってなんて不思議で、素敵なんだろう。

私は、こうして川畑の隣に居るのは、いつも変わらず私でありたいな…と思いを込めて、川畑の手を握り返した。








~終わり~
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