モノクロの音色よ鮮やかに響け

仕事で来た訳ではないからか、川畑はいつになく私の事を色々聞いて来た。

「車の免許はあるのか？」
「あ、あります。でもペーパードライバーなんです」
私はいわゆる資格マニアで、漢検や英検も上級を無駄に持っている。
今の所、役にたった資格はヘルパーだけだったけれど。

運転も練習したら、もっと役にたてるだろうか。
川畑と出かけられたら素敵だなぁ…。

「家族と出かけないのか？」
「たまに行きます。でもお父さんも普段は電車通勤なので…サンデードライバー、って言うんでしたっけ？車で遠出はしたくないって、近所ばかりです」

川畑は頷いて暫く黙り
「恋人はいるのか？」
と聞いて来て、私はビックリした。
「…いませんよ」
無言で頷く川畑は、胸中何を思っているのだろう…？