モノクロの音色よ鮮やかに響け
ショッピングモールには服屋が多くて、私は歩きながら店の解説をして、
「川畑さんに似合いそうな服があります。ちょっと、着てみませんか?」
と、少し強引に服屋に入った。

でもそこは、一見してオシャレな服があるだけあって、世界的に有名な日本人デザイナーのブランド店だった。
私が普段買う物とは、桁までは行かなくとも三倍は値段が違った。

ビックリしたものの、入ったからにはすぐに出る訳にもいかない。
愛想の良い店員さんと目が合った。

「なんという店だ?」
「あ~、キクチタカオです」
川畑は頷いた。
「前に、他の店舗でコンサート用の服を仕立ててもらった事がある」

あら…それならお値段大丈夫かしら。
自分が買い物する時の癖で変な事を心配してしまったが、考えてみれば川畑家はお金持ちだ。
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