モノクロの音色よ鮮やかに響け
川畑は自分が稼げない事を気に病んでるのか、自分のお金はないと嘆いていたけれど、川畑家の財産はいずれ一人息子の川畑の物だろう。

似合いそう、と思って足を止めたのは、ジャケットだ。

春秋物、といった薄手の生地で、これから夏の盛りへ入る今、2割引の札がついていた。

割引って素敵な響き!
…おっと、庶民の感覚で値段で決めたらいけない。

「川畑さん、この白いジャケットを着てみて下さいよ」
手に取っていたら、さっき目が合った店員さんが来て、私と一緒になって勧めてくれ、川畑は苦笑しながら袖を通した。
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