モノクロの音色よ鮮やかに響け

念願だったヘルパー2級の資格を取って、分厚いタウンガイド誌で一番大きく載っていた
『大滝家政婦・ヘルパー派遣センター』へ
登録して最初の仕事…。

思えば、面接の時からして、広告の大きさの割には小さな…トタン造りのほったて小屋みたいな事務所でびっくりした。


「本田恭子さん、21歳ね。
ずいぶん若いけど、ヘルパーをやろうだなんて、偉いわねぇ」

そういう自分もセンター長としては若いだろう、40歳そこそこ位に見える大滝さんは、
小さなテーブル机を挟んで座って、私の履歴書を見ながら、他人事のようにおっとりと言った。