モノクロの音色よ鮮やかに響け
広い床に楽々と掃除機をかけながら、物が少ないのは、川畑がぶつかったり転んだりするのを防ぐ為かな、と思い当たった。

うちなら掃除機をかけながら、弟が出しっ放しにしたマンガ本や上着を拾ったり、家具の段差や隙間を縫って進んでは後ろから付いて来た掃除機本体がゴツンとぶつかってつっかえたりする。


二階のトイレの電気をつけた時に、電気がつかず、電球が外れかけてる事に気付いた。

私はそれを直しながら、川畑は気付きようがないだろうなと思った。
他にも、電気がつかなくなってる所があるかもしれない。

いやそれ以前に、常に光のない世界にいる川畑は、夜に電気をつけるのだろうか?

私は真っ暗な家の中で一人でいる川畑を想像して、考えるだけで寂しさに胸が締めつけられた。
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