モノクロの音色よ鮮やかに響け
「あ、スンマセン」
「釣りは要らないと言った」
川畑は、謝りながら小銭を拾う店員さんに追い討ちをかけるように淡々と言うと、靴箱の上に釣りの五千円札を置いて、舌打ちと共にリビングへ行ってしまった。

店員さんは川畑が目が見えない事を知らないだけだろうに…。
私は申し訳なさに溜め息が出た。

「あの、ここ置いときますんで。桶は明日取りに来ます」
店員さんは小銭を札の上に乗せると、ペコッと頭を下げた。

「すみません。ご馳走様です」
「ありがとうございました」
 
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