モノクロの音色よ鮮やかに響け
私は寿司桶と、お釣りを持ってリビングへ入った。

「川畑さん」
ソファの川畑に声をかける。
お母さん譲りの、世話焼きモードのスイッチが入っていた。

「お釣り、どこに置きます?」
サングラスの下の表情はわかりにくい。
「お前がもらったならもらっておけ」
そう来たか…この、頑固者!

「じゃあ、後で買い物に行く時に使って報告します」
言い切った私に、川畑は反論しなかった。
私は寿司桶をテーブルに置いて、自分の鞄にお金を入れ、メモ帳に今日の日付と『5800円預かる』と書いておいた。

預り金用の財布が欲しいな。
それに、中庭とサンルームの出入口にはサンダル。
ゲストルームの電球も、一つ切れてた。
私はそれらもメモしてから、
よし!と心のかけ声と共にメモ帳を閉じて鞄にしまった。
 
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