モノクロの音色よ鮮やかに響け
「お前、兄弟がいるだろう?」
川畑の言う事は謎かけのようだ。

きっと本人は脈絡あって言うのだろうが、何を考えているのかサッパリわからない。

「弟がいます」
「いくつだ?」
「13歳…そこの中学の二年です」
「そ、うか…」

何かを思い出したのか、必要以上に驚いた川畑の言い方に私も驚いた。

川畑邸から中学はすぐ近くだ。
川畑も、公立のそこに通っていたのかもしれない。

聞いてみようかと思ったが、聞くのを一瞬躊躇ってる内に話はそこで切れた。

川畑は慣れた様子で手を洗ってタオルで拭くと、ティーカップ2つと、リンゴ2つと果物ナイフ、醤油さし、小皿をいくつか出してお盆へ乗せ、
「お茶を入れたら持って来てくれ」
何も持たずに出て行った。
 
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