モノクロの音色よ鮮やかに響け
「え~と、川畑さんの左奥から、マグロの赤身、トロ、ネギトロ、鉄火巻き2つ。
バランで区切って甘酢の生姜があります。
2段目左から、サーモン、イカ、タコ、海老、ホタテ。あ、海老には頭もついてます。
3段目左から…何だろう、鯛か金目かな?
白身のお魚と、…名前がわかりません、紅白の色の貝と、今私が取った穴子、イクラ、ウニ。
最後、手前の左からアジ…だと思います、生姜が乗ってるので。
あと生シラス軍巻と桜海老の軍巻、ワサビが小さいプラスチックカップに入ってます」

生シラスや生桜海老は、この時期ならではだろう。

けっこう値が張ると思っていたが、内容の豪華さからしたら安い位だ。
それに、改めてネタを一つずつ見ると…

「うまそうだな」
川畑が同じ事を考えてて、私は少し笑った。
「えぇ。凄く」

「苦手な物はないのか?」
「…正直、ウニが苦手です」
「では俺がウニをもらおう」

川畑は喜々として言った。
私と川畑は、目は合わないにしろ、顔を見合わせて、同じタイミングで笑った。
「いただきます」
「…ん」
 
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