モノクロの音色よ鮮やかに響け
けっこうな時間をかけて、私達は寿司を全部食べた。

リンゴを剥いて別の小皿からつまみながら、お茶を飲む。
お寿司ですっかり満足していた私は、リンゴはほとんど食べれなかった。

「よく出前を頼むんですか?」
「いや。夜は弁当の配達を頼んでるが、出前はない」

「そうなんですか…」
では、今日は何故?と思ったが聞けなかった。

「食べ物をこんなに美味しいと思ったのは久しぶりだ。
また、時々頼もうと思う。
その時は付き合ってくれ」
「それは構わない…って言うか嬉しいですけど、いいんですか?」
川畑は笑って頷いた。

「ありがとうございます。ご馳走様です」
私は単純に、川畑邸の仕事の楽しみが出来た、とその時は思った。
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