モノクロの音色よ鮮やかに響け
エプロンをほどきながら、リビングの川畑に声をかける。
「川畑さん。今日は帰ります」

『午後―4時―31分―』
あちゃあ、30分過ぎちゃったか。
「お疲れ様。30分余分につけといてくれ」
「えっ、でも」
「時間給だろう?」
「はい」
「働いた分、もらいなさい。私から連絡しておく」
「ありがとうございます。失礼します」

うん、川畑はやっぱりけっこうイイ人だ。
私は一礼して、家政婦・ヘルパーとしての初仕事を終えた。

充実して働いた後の、疲労感が心地よかった。
 
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