モノクロの音色よ鮮やかに響け
「仕事、どうだったの?」
台所へ入ると、キャベツを小気味良く千切りにしながら、お母さんが聞いて来た。
「…疲れた」
この一言に尽きる。
お母さんは笑い飛ばした。
「慣れるまではそんなもんよ、頑張んなさい」

「覚える事とやる事がたくさんあって…あ、そうだっ!」
私は、思い出して慌てて自室に置いた鞄から、お弁当を取り出して来た。

「今日、川畑さんがお寿司の出前を頼んでくれて、お弁当残ってるんだけどまだ大丈夫かなぁ…」
「お寿司なんて、良かったじゃない。
…どれどれ?」
お母さんが、お弁当箱を開けて匂いをかぐ。

「大丈夫そうね。夕飯トンカツよ。特売のヒレ肉。お弁当は恭子が食べれなくても知也が食べるでしょ」
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