モノクロの音色よ鮮やかに響け
『エコーロケーション』がわからず、次はそこへ飛ぶ。

それを読んだ私は、興奮して画面にかじりついた。
『音が物に当たって、はねかえる反響音で距離や形をとらえること。』

これだ!

川畑がしきりと繰り返す舌打ちは、気分が悪い訳でも癖でもなく、舌打ちの反響音で周囲の様子を捕えていたのだ。
私は、目が見えない筈の川畑がスムーズに動ける謎が解けて、
はぁ…っと天を仰いで溜め息をつき、脱力して椅子の背もたれにもたれかかった。

今日あった事を思い出してみる。
最初に玄関で会った時、私を上から下まで舐めるように見てたと思ったあれは、見えない目で私の姿をとらえる為だったのだ。
それに、頭を下げたりする私の動きも、その度に舌打ちでわかっていたのだろう。
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