モノクロの音色よ鮮やかに響け
祖母の最期の様子は、最近になって母から聞いた話だ。
私が介護の仕事がしたいから、ヘルパーの資格を取りたいと話した時に、いつになく真剣に話してくれた。

「お母さん、お祖母ちゃんにもっと良くしてあげたかった。もっと勉強して、早く一緒に暮らせば良かった…。」
お母さんは涙ぐんでいた。

私は、いつも元気で明るいお母さんの悲しみに触れ、かける言葉を探して、いつものお母さんならこんな時に何て声かけてくれるだろうと考えた。

「お母さん、すぐ仕事辞める訳にも、引っ越す訳にも行かなかったんじゃないの…。
お母さん頑張ってたの、私知ってるよ。
今度は私が頑張るから。
お父さんやお母さんが寝たきりになった時は、私が面倒見るから!
大船に乗ったつもりでいて。」

お母さんは、涙を拭って笑った。
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