モノクロの音色よ鮮やかに響け
正直、この高校の事はインターネットで調べて知っていた。

お父さんは、お酒の席で上司に、高校にも行かず家で過ごしている娘の事を相談でもしたのだろう。
ダシもいいところだ。

「後で見てみるよ」
私は自分が嫌な奴なのを自覚しながら、資料を持って自室に入り、バタンとドアを閉めた。

やりとりを見ていたお母さんが、後から部屋に来た。
「恭子?入るわよ」
有無を言わせず開けて入って来る。

私は調べ物をしていたインターネットを慌てて閉じた。

「お父さん、あれでも心配してるのよ。わかってあげてね」
「………」
そんな事はわかっている。

「お父さん、自分が高卒で就職に苦労したから…」
それは初耳だ。
私は、ひとつため息をついてから、口を開いた。
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