モノクロの音色よ鮮やかに響け
雨や、風の強い日には
『雨だれの前奏曲』『木枯らしのエチュード』

『別れの曲』や『葬送行進曲』を
静かに聴いてる時は、話しかけ難い雰囲気だ。

『華麗なる大円舞曲』やオーケストラ曲の時はきっと、気分が悪くはない。

『黒鍵のエチュード』や『子犬のワルツ』のような軽快な曲の時は、指で刻むリズムも楽し気で、私がリビングへ入ると川畑の方から声をかけて来る事もあった。

「お前のようだ」
ほとんど独り言のように言った時の曲は『子犬のワルツ』

えーっと、それってどういう意味だろう。
「…私って、犬みたいですか?」
川畑はちょっと困惑気味に笑って
「タイトルを知っていたか」
と呟き、
「…よく動く」
と言った。
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