モノクロの音色よ鮮やかに響け
信念(?)のもとに欠かさないらしい一日一個の林檎は、驚いた事に自分で果物ナイフを上手に使って4つに切って、剥いて食べていた。

慣れているから出来るのだろうが、初めて見た時はハラハラした。
掃除途中の雑巾を持ったままキッチンの周りをウロウロして、気配で察したらしい川畑に
「見物か」
と怒られた。

「すみません。やりましょうか?」
「大丈夫だ。自分で出来る」
言うだけあって、私より早くて上手い位だった。

私が感心して素直にそう言うと、川畑は頷いて
「お前も食べるか?」
と言ってニヤッと笑った。

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