モノクロの音色よ鮮やかに響け
コツ、コツ、コツ…
チッ、チッ、チッ、チッ…
音と共にスムーズな動きで歩いて行く。
私は自分が案内するつもりでいたけれど、川畑にとっては正に自分の家の庭なのだ。
でも、これでは周囲にまで注意が行かないだろう。
鳥のさえずりも聞こえない。
「芝生を歩きましょうか。緑が綺麗ですよ」
私が言うと、川畑は立ち止まった。
「手を」
左手を私に向けて少し挙げる。
「何もない所では一人では歩けない」
あぁ、そうか。
杖に触れる物がない道で、舌打ちのエコーロケーションも、反射する物がなければ意味がない。
チッ、チッ、チッ、チッ…
音と共にスムーズな動きで歩いて行く。
私は自分が案内するつもりでいたけれど、川畑にとっては正に自分の家の庭なのだ。
でも、これでは周囲にまで注意が行かないだろう。
鳥のさえずりも聞こえない。
「芝生を歩きましょうか。緑が綺麗ですよ」
私が言うと、川畑は立ち止まった。
「手を」
左手を私に向けて少し挙げる。
「何もない所では一人では歩けない」
あぁ、そうか。
杖に触れる物がない道で、舌打ちのエコーロケーションも、反射する物がなければ意味がない。