モノクロの音色よ鮮やかに響け
私は、エプロンで右の掌をこすってから、川畑の手に触れた。

川畑の長い指に指を絡ませ、手をしっかり組み、肘を曲げて並んだ。
肩が、川畑の腕に触れるほど近い。
掌が、熱い。

「行きましょう」
聞こえそうなドキドキを隠して明るく言って、歩き出した。

「…鳥の鳴き声が聞こえませんか?
門の横の大きな木に、白黒模様の鳥が2羽います」
カップルなのかも、って感想は心の中で。

「聞こえる」
川畑は満足気に頷いた。
「風も、芝生の緑の匂いも、久しぶりだ。…暖かい」

川畑は言葉に力が入って、私の手をキュッと握りしめた。
「本当に、暖かいですね」
私も嬉しくなって微笑んで、手を握り返した。

川畑邸での仕事に、天気が良い日には散歩するという項目が増えた。
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