モノクロの音色よ鮮やかに響け
電話で行く事を伝えていたにもかかわらず、大滝さんはテーブル机の上に、利用者の個人情報満載の書類を無造作に出しっ放しにしていて、私は驚いた。

大丈夫かなぁ…と不安に思っている所へ
「川畑聖士さん、どう?」
おっとりした口調で大滝さんに聞かれて、私は焦った。

「えっ…」
「お仕事、これからも勤まりそう?」

あぁ、仕事の話か。
ちょっと考えてみればわかる事だったけど、私は一瞬、川畑の事をどう思ってるのか聞かれたのかと思ってドキッとした。

「仕事内容は大丈夫です。でも、川畑さんを怒らせてしまったようで…」
思い出すとため息が出る。
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