モノクロの音色よ鮮やかに響け
川畑は、また1つ舌打ちをすると、今度こそハッキリとクスッと笑った。

「案内する。付いて来て」
そう言うと、背を向けてスタスタと歩き出す。
私は慌てて靴を脱いで揃えて上がり、付いて行った。


川畑は、目が見えないなんて信じられない程スムーズに歩く。
歩調と共に、チッ、チッ、チッ、と規則正しい音がするのは、癖なのか…舌打ちでリズムを取っているようだ。

「二階から」
正確に階段の前で止まって言うと、舌打ちのリズムと共に、なめらかな動きで螺旋状の階段を、手摺りも使わず上がって行く。
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