君だけは離さない
「……出られない?あの……それは……一体……」
「西園寺響」
「……え?」
「俺の名前だ。うちは代々財閥の家系でな。俺は現社長で跡継ぎでゆくゆくは全てを受け継ぐ事になってる。そしてお前は選ばれた」
「選ば、れた?」
「ああ。俺に媚びを売る部下もいる。時々女を連れて来るんだ。そんな女は今までは相手にしなかったが……お前は特別だ。部下が拉致する程の美貌の持ち主だからな」
「………拉致?」
「本来は脅しをかけて、すぐに追い出すつもりだったが気が変わった。俺はお前を気に入ったし飽きるまではこの家から出す気はない」
「?!」
「あぁ。一つ言っておくが逃げようったってそうはいかない。セキュリティは万全だから逃げるなんて不可能。万が一逃げようとしたら、その時は……」
「……………。」
緊張した面持ちで響を見る。自分の運命がどうなってしまうのか――――怖くて仕方がなかった。
「お前を殺す」