君だけは離さない
「………や、そんな事っ………」
「心配するな。逃げなければ殺しはしない。お前は俺の事だけを考えていればいい」
「殺す、だなんて……」
「本気だ。俺に出来ない事はない。お前の存在くらい簡単に消す事が出来る。つまり生かすも殺すも俺の気分次第だ。それだけの力があるからな」
「……西園寺財閥……?」
「知っているなら話しは早い。そうだ日本一とまで言われる財閥だ。闇社会ではないが権力はある。その跡取りである俺に逆らおうなんて思わないよな」
「………………。」
「悪いようにはしない。安心しろ」
「……………。」
「まずはお前の部屋へ案内しよう。来い」
「………あっ!!」
響に強引に腕を掴まれて今居る部屋を後にした。
これから先の事を思うと辛い。もう死ぬかもしれないし自由になれないかもしれない。彼女が自分の人生に絶望した瞬間だった。