君だけは離さない




彼女が新しく連れて来られた部屋は先程いた部屋の2倍……いや3倍はあるだろうか。豪華ではあるが女性らしく可愛らしい雰囲気だった。



「今日からここがお前の部屋だ」

「私の……部屋?」

「そうだ。それから隣は俺の部屋。あのドアは俺の部屋に繋がっている」

「…………隣……」





彼女はそれっきり何も言わなくなった。


自分が置かれている状況がどれ程恐ろしい状態か分かった。


西園寺と言えば日本屈指の財閥だ。
幅広く事業を展開しており西園寺が携わっていないものはないと言われるくらい。
その代表である西園寺響の名前は誰でも知っている、勿論彼女も。

響の言った事は嘘ではない。自分の存在など簡単に消してしまえるだろう。


自分に残された道は一つ。響の言う通りにするしか方法はない。


まだ殺されるわけにはいかない。



あんなすごい人がいつまでも自分になど執着するはずはないだろうからすぐに飽きると、この時は思っていた。





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