君だけは離さない




拉致され不安で眠れぬ夜を過ごす彼女。



その同時刻――――



響は調べ物をしていた。



調べ物とは勿論、隣部屋にいる彼女の事、当然と言えば当然なのだが殆ど話さない。名前を呼んだ時の反応で彼女が自分が長年探していた人―――‘高瀬美桜’である事は分かったが……それ以外は全く分からない。



その為に調べる。今の所分かったのは彼女は現在大学生で年齢は19歳。学生証があるので今まで痕跡が掴めなかった情報が分かった。



あれだけ探して見つからないはずだ。
両親を亡くした彼女は親戚中をたらい回しされていて一カ所に留まる事はなかったからだ。


いくら響でも幼い頃の自身の記憶だけで彼女を探すのは不可能。



いつも女を連れて来る部下に嫌気がさしていたのだが彼女という宝物を与えてくれた事を心から感謝した。



まだ一つやる事が残っていた。


身辺整理。



愛する人は見つかったから女は必要ないと判断した響はこの日、全ての女性を切り捨てた。




< 13 / 22 >

この作品をシェア

pagetop